40代の悩みに効く物語

「ラストトーキョー”はぐれ者”たちの新宿・歌舞伎町(後編)」ー多世代が影響し合って次の町が生まれる

NHKのドキュメンタリー番組の紹介。東京新宿で麻雀店と営む71歳の母親を持つNHKのディレクター柚木が、母親が生きてきた新宿歌舞伎町にはじめて足を踏み入れるドキュメンタリー。

このドキュメンタリーの主人公は、新宿歌舞伎町で3軒の麻雀店を営む71歳の女性・柚木佳江。その主人公を追うのは実の娘でNHKのディレクター柚木映絵(てるえ)。映絵は、母が麻雀店を閉めると話したことから、母親の生き様、歌舞伎町と言う町を残しておきたいとこの取材を始め、この町で生きるたくましい人々と出会う。その一方で、自分には何もないと葛藤している。

前編を見ていない方は先にこちらをどうぞ

テリー

たくましい上の世代と比べ自分には何もないと語る映絵。これは多くの若者に共通する悩みではないか。そんな葛藤の中、映絵が彼らと真剣に向かい合うことで気づいたこととは?ぜひ後編をご覧ください

番組概要

2019年7月28日放送
NHKオンデマンド BS1スペシャル エピソード84
(NHKオンデマンドの登録・視聴方法はコチラから)

あらすじ 皆が連なり、響き合う町である限り

後編は、これまでの新宿が少しずつ崩れてくる様を映し出す。新宿には新しい格安麻雀店がオープンし、母・佳江の店のライバルとして若い客をひきつけていた。そして何より、麻雀店の従業員の女性や、俳句グループ「屍派」主宰の北大路さん、父・次郎がそれぞれ体調を壊し倒れるのだ。次郎は肝臓がんがであった。手術ができずに入院・療養が続くようなら、佳江はすぐに店を閉めて看病に専念すると言った。しかし二郎は無事に手術ができ体調を取り戻した。

それと合わせるように、弱気だった佳江は徐々に復活しはじめる。「まだまだ若い世代にも(自分の店は)通用するのではないか」と思い始めたのだ。その後押しをしたのは映絵だった。格安麻雀店を取材する内に、佳江の店のように値段は高くても食事やサービスのグレードが高い店への需要があることを佳江に進言したのである。

佳江は店の情報をインターネット上に掲載したり、新しいメニューを開発したりと精力的に動き出す。「来てくれたお客さんに精一杯のサービスを尽くす、それが自分の店の強みだと気づいた」という。平成の終わりに店を閉めるのはやめた。

また北大路さんも体調を崩し俳句を辞めようと考えていたが、考え直した。「世話になってきたからね。多少恩返しはしてあげなきゃいけないんじゃないの。このままだと僕がいい思いだけして逃げるのは。さすがにかわいそうだなと思って。だから恩返しだね。町より仲間だな。」という。

変わりゆく新宿で、そこで生きてきた人達も年を取り変わっていく、その流れはとめられない。しかし、映絵は「どんな人も連なり合って生きている、それだけ忘れなければこの町はこの町であり続ける」と語る。この町で生きてきた人、その人達の後へと続いてきた自分も含めた若い世代は、彼らから何かを教えてもらうだけの存在ではない、互いに影響し合って生きている、「自分もこの町の多様性の一つなのだ」と考えるようになった

母と娘の対話 「自分も与えられる存在」

「たたき上げ」のたくましい上の世代に対して、自分たち「温室育ち」は何とひ弱なことかと弱気になっていた映絵。しかしこの取材を通して、自分たちもこの町の多様性の一つであると考えられるようになった。そんな気づきが、この母と娘の対話に込められている。

母・佳江

あなたが真剣に取材してくれるから、私も生半可な気持ちの取材じゃなく、ホントにはずかしいけども真実を語らなきゃって思ったわけで。あなたは私にそれを与えてくれたわけよ。それはホントに感謝してますよ。71にもなってさ、そうやって教えてくれるんだなって思いますよ。それはすごく立派なことなんじゃないの

娘・映絵

まだまだとは思うけど。自分も与えられる存在なんだって思えることはすごい救いかもしれないね。いつも足りないから、もらって、教えてもらうっていう立場でしかなかったから。

母・佳江

たまたま娘だったけど、なかなか言い考えしてるんだなって思っちゃいましたよ。それで自分も考え直して、このままじゃいけない。もう辞めようと思っていた店だったけど。自分の思う、気持ちの中で期限を切るんだって決断できましたから、それはあなたが私に与えてくれたことです。

娘・映絵

もしかすると、私とか恵まれているから、なんか恩返ししなきゃいけないって思って生きてきたから。そういう若い人けっこういると思うけど。自分は足りないから、何か教えてもらわなきゃいけないとかさ。自分も誰かに何かを与えられる存在だと気づけるとちょっと楽になるかもしれないね。

母・佳江

あなたがアドバイスしてくれて、それは言葉じゃなくて、あなたが真剣にやっている姿を通して、私に一生懸命立ち向かってくれたんだから、私はお店の終焉を自分でキレイに納得いくように見事にやってみせますよ。真剣に向かってくれたことですよ。それが娘だというから、感慨無量ですが。自信もってやんなさいよ

おわりに 互いに影響されながら生きていく

前編で、母・佳江は映絵に対して「(新宿で生きてきた人達のことを)聞いただけじゃわからない」、今の立場を捨てることもありえると言った映絵へ「甘い」と言った。じゃあ自分は「どうすれがいいのかわからない」と言った映絵に佳江は何も答えることができなかった。

このやりとりの一つの帰結が後編の母と娘のもう一つの対話の中にあった。佳江は、映絵に「歌舞伎町には近づくな」といい、勉強させて、いい大学行かせて、いい会社に行かせた。それは「娘のため」と言いながら「(自分が)立派な母親でありたかった」と言い、「自分のため」だったと認めた

そして次のように語るである。

母・佳江

もっと自由にいろんなこと もっと自分の自由な選択肢をたくさん持たせるべきだったのかなって思う。申し訳ないなって思うことあるよ。私としては一生懸命やってきた。それで勘弁してほしいね。

娘の悩みを聞き「申し訳なかった」と語った母。そしてそんな自分だから母に対してできることもあったということに気づく映絵。いい悪いじゃなく、そんな風にして世代はつながっていくのだ。多世代、いろんな人達が影響し合って次の時代の新宿が作られていく

「ラストトーキョー」を無料で視聴する方法

「ラストトーキョー」はNHKオンデマンドで配信されています。NHKオンデマンドは、「U-NEXT」や「Amazonプライムビデオ」から登録して視聴します。はじめての登録であれば30日間の無料視聴体験がついているので、無料で視聴することができます。

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