小説

「理想の自分がわからない」人がやるべき事はたった3つ(悪魔の夜鳴きそば)

「自分を変えたい」とは世の中のほとんどの人が思っている想いの一つではないでしょうか?

他人と比べて劣等感を感じたり、何もうまくできな自分にいらだちを感じたり…そんな日々の積み重ねから、人は皆「自分を変えたい」と願うようになります。

しかし、このように、なんとなく今の自分には満足できない…でも理想の自分がわからないこうなりたいという理想もなければ、自分から何か行動するということもない…というのが多くの人の現実だったりします。

そのような状況が続くと、自分より優れていると感じる他人の粗探しをするようになったり、自分がうまくできないことを他人や環境のせいにするようになったりします。

それは「自分を変えたい」ということとは真逆の、「他人や過去の自分を貶めたい」という方向に進みます。

本記事で紹介する「悪魔の夜鳴きそば」の主人公みっちゃんは、まさにそんな悩みを持つホテルマン。そんな彼女を導くのは謎の餅の妖精「もちぎママ」。みっちゃんは、もちぎママとの対話を通じて、「自分の理想」の持ち方や、「人との関係」の持ち方を学びます。

「今の自分には満足できないけど、何をどうすればいいのかわからない」という方に、本書をぜひ読んで欲しいと思います。本記事ではそのエッセンスを紹介したいと思います。

ざっくりポイントを先にお伝えすると…以下の3つになります

  • 自分の好きを人と比べるのを辞め、理想のハードルを下げる
  • 際限のない理想を辞め、いい意味での妥協を知る
  • 自分基準を辞め、人の目を通して本当の自分を知る

あらすじ

物語の舞台は京都港区虎ノ門。深夜11時になると、オネェ口調で話す「餅の妖精」と名乗る「もちぎママ」がラーメン屋台を開いている。そのラーメン屋の屋号が「悪魔の夜鳴きそば」。

その屋台を訪れたのが、近くのホテルでルームサービス担当のホテルマンとして働いているちょっとできない方の社会人、満内(みつない)ミチコこと「みっちゃん」だ。

物語は、人生がうまくいかないみっちゃんが屋台でママに仕事のこと、人生のこと、家族のことを相談するところからはじまる。

みっちゃんは、仕事ができない…と自分で思い込んでいる。毎日上司に怒られ、要領よくやっている後輩に嫉妬している。彼氏にはふられたばかり。

大人になってからはずっとどんなときでも、夏休みが終わる1週間前なのに宿題をやっていないような、嫌なことや問題を先延ばしきた焦りと、ちょっぴり泣きそうなくらいの不安を抱えて生きている心地がする

そんなみっちゃんが、もちぎママとの会話の中でちょっとずつ変わっていく。詳しくは以下の「理想の自分がわからない人がやるべき3つのこと」で紹介します…。

理想の自分がわからない人がやるべき3つのこと

①自分の好きを人と比べるのを辞め、理想のハードルを下げる

みっちゃんのように漠然とした「変わりたい願望」を持っているけど、「どう変わりたいのかわからない」つまり「やりたいことがわからない」という人は多いと思います。

みっちゃんはもちぎママに次のように言います。

欲はあっても無趣味とかで悩む人って多い気がする。なんか楽しいことしたいけど、なにもすることがないって人。ちゃんと熱中できる趣味や夢がないと、モヤモヤして生きちゃうよね。私も終活のときに悩んだなぁ。答えられる趣味がなくて。

「やりたいことがわからない」って大学生の時に一番思っていたかもしれませんね。就活の時に「何をやりたいのか」を考えるけど…特に何もない。

自分の周りの友だちは、やりたいことを持っているように見える。自分には「何にもない」「なんてからっぽな人間なんだ」って

そんな思いは大学生に限らず、みっちゃんのように働き始めてからも思うようです。

そんな思いを持っていると、「やりたいことをやっている」ように見える人に対して「失敗しろ~」と呪いをかけてみたりします笑。

また子どものころから何か打ち込めるもの、もう少し正確に言えば「人より秀でたもの」を磨くことができなかった過去を呪うようになります。

みっちゃんもごたぶんにもれず…そんな心境だったようです。

みっちゃんが自分で好きでやってきたこととして外国語があります。でも別に特技なんていうほどじゃ…と思い込んでいます。人と比べたら特技なんて言えるほどのものではない…自分より英語できる人なんて山のようにいるわけだからと。

そんなみっちゃんにもちぎママは「自分の好きな事」や「趣味」すら、人と比べることの愚かさを説きます

人と比べて秀でている、劣っているかを判断するには何らかの「尺度」が必要です。それが固定化されて、どうでもいい尺度で、趣味すら人と比べ…自分には何もないと嘆くと言います。

社会や環境にどれだけ貢献できるかしか尺度がないから、自分にも人にも厳しくしすぎてる。そのバカまじめが行き過ぎると、税金を支払っている額とか、社会的な立場とか、子どもの数とかで人間の生産性を測りだす。それで「あいつばダメだ」とか「自分はダメだ」って思うようになんの。

”人と比べなければ”…自分が好きな事ややりたいことなんていくらでもありますよね。それがなんか立派なやりたいことじゃなくていい…そんな風に言われるとちょっと気が楽になるかもしれません。

自分のやりたいこと、自分の理想の「ハードルを下げる」ことが、卑屈に生きない上で大事なことなのです。

②際限のない理想をやめ、いい意味の妥協を知る

ただ「人と比べないこと」…これほど難しいことが世の中にあるのだろうか…とも思います。特に若い頃は。みっちゃんも「そうは言っても…」という感じでした。

でも人と比べなければ、じゃあ自分の満足感はどこにあるのだろうか?って思いませんか。

英会話の能力を比べなければ、まぁそこそこ外国人と会話できるし、仕事でも最低限なんとかなっているからいいか…となるのでしょうか。

そんなみっちゃんにもちぎママは次のように言います。

理想を下げろ、とまでは言わないけれど、理想って言葉に惑わされちゃダメよ。理想と妥協はセットなの。自分がどこで妥協できるのか、ってラインを理想と呼ぶのがいいのよ。

つまり、どこまでも自分は未熟だと言えば、逆にどこまでいけば満足するのでしょうか…という問題にぶちあたります。

いい意味でどこかで妥協できない限り、焦燥感は消えないのです。いつまでも自分は足りない、ダメだ、あぁ明日が心配だと。

現状色々問題あるけど、まぁいいやということではなくて…際限のない理想はやめて、ここまではやろうといういい意味での妥協をすることが大事なのです。

みっちゃんはこの妥協できないせいで、自分はもちろん、人にも「あれが足りない」「あそこがダメだ」と粗探しをしてきました。

理想論や完璧像の高さに打ちひしがれて、自分にも他人にも文句ばかりでてしまうのかな。だったら私は妥協を知らない子どもだったのかもしれない。

自分なりの満足感を得られるところを、完璧を求めずに気楽に設定する…そんな心持ちが大事かもしれません。

自分に完璧を求めることを辞めれば、人にも完璧を求めることはなくなるのかもしれません。

③自分基準を辞め、人の目を通して本当の自分を知る。

「自分なりの満足感を得られるところ」…言い方を変えれば「身の程を知る」という言い方になるかもしれません。

この辺にモヤっとしている人も多いでしょう。みっちゃんももちぎママに「私はあきらめて今の自分に満足しろってこと?」と問い詰めます

その問いに対して、もちぎママは「身の程を知るってことは、本当の自分を知るってこと」と言います。

「本当の自分を知る」って、またそれができれば誰も苦労しねーよっていうやつですね。就活生であれば…自己分析とかやるんでしょうか。

自己分析ってホント意味ないって思いませんでしたか。ホントその時の気分とか、自分次第でどうとでも恣意的に出来てしまう。そんなことだ自分なんかわからないですよね。

自己分析って「自分のことを知る」ためにするわけですが、もうちょっと突き詰めると、就活であれば「自分にはこんな特性があるから、社会でこんな役割が担えるのではないか」とか分析するわけですよね。

つまり「社会」とか「世の中」から見ての「自分」なわけです。なので「自分基準」で考えていても、世に出ていく時に役立つ自己分析なんてできないんです。

この「自分基準」でばかり考えてしまうということも、最初に書いた「人と比べる」とほぼ同義なわけです。

あの人は自分にない能力や立場があるから、なんて投げやりになる。そして自分と似たような欠点や短所を、相手に見出しては安心したりヤキモキしたり…。なんで自分と似た人間が評価されて、自分がされないんだと社会や大勢の人間に責任を求めたりね。つまりこの手の発想は全部≪自分目線≫で≪自分基準≫なのよ

そうやって人と比べることを辞めて、自分が他人からどう見えているのかを、他人を観察することで理解していければ「本当の自分」を知ることができるともちぎママは言います。

全部自分と比較してしまう自意識過剰を捨てたら、自分に何があって何が足りないのか、きっともっと見えてくる。そこから努力すればいいのよ。理想ってやつは上にあるんじゃなくて、ずっと目の前にあるものなの。今度はそれを見据えてがんばりなさい。

みっちゃんは自分は仕事ができないと思い込んでいました。

でも後輩から言わせれば「みっちゃん先輩、たしかに失敗してるけど…。それは人の3倍働いているからでしょ。失敗するリスク上がりますって」と言い、他人から見れば、「がむしゃらに前線にバンバン立っている勇敢な先輩」に見えていたそう…。

それがみっちゃんの「本当の自分」だったわけです。

まとめ

みっちゃんはもちぎママとの会話を通してちょっとずつ変わっていきます。その結果、職場での人間関係や、家族との関係、別れた彼氏との関係を前向きに取られ得ていくことができてきます。

「理想の自分がわからない」…その最も大きな原因は「自分と人と比べること」だったのだと思います。

自分と人を比べることを、自分の成長に活かせればいいのでしょうが…多くの場合「自分の個性を見失うこと」になったり「ありもしない完璧な理想像に固執すること」につながるようです。

理想の自分がわからない人は独りよがりな自己分析をするのではなく

  • 自分の好きを人と比べるのを辞め、理想のハードルを下げる
  • 際限のない理想を辞め、いい意味での妥協を知る
  • 自分基準を辞め、人の目を通して本当の自分を知る

本記事ではエッセンスだけ抽出しましたが、本書は物語を通してみっちゃんがちょっとずつ変わっていく姿を見ることができます。みっちゃんが自分への見方を変えることで、周りの人達への接し方が変わっていく、そんな姿をぜひ本書でご覧いただければと思います。