自己啓発書

天才はあきらめた(山里亮太)【どうすればネガティブな感情から自分を救えるのか】

私は、嫌なことがあるとその気持ちを何日も引きずって…車の中で「ワ~」とか言ってしまいます。そんな自分を何とかしたい、割り切って前を向きたいでもなかなか上手く行かない。

こんな「ネガティブ感情にどう立ち向かえばいいのか?」といつも思います。

これらの感情に心を蝕まれないように、、様々な人間関係を遠ざけるのも有効な方法だと思います。無駄に感情を乱される必要はないですからね。

しかし、それでも逃げ切れるものではないというのも実感としてわかっています。そして「他人なんて関係ない」という強い自分を作ることは、人生の長い時間をかけて作り上げていくほどのものだということも分かっています。

そんな時に見つけたのがお笑いコンビ・南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太の「天才はあきらめた」という本です。

本書は、山ちゃんがお笑い芸人としてブレイクするまでの自伝です。山ちゃんってちょっと前までは嫉妬深くて気持ち悪いキャラでしたが、蒼井優との結婚あたりを境に劇的に評価変わりましたよね。

そこには、嫉妬深い気持ち悪いキャラの裏には、ものすごい努力家であることが世に伝わったからですよね。

そして本書で私が一番衝撃を受けたのは、努力するために自分の足を引っ張るネガティブな感情を否定せずに受け止めて対処している姿でした。それはネガティブ感情に支配されモンモンと悩んでいる人に大きな勇気と適切な対処のコツを示してくれるものでした。

ということで、本記事では、山ちゃんがネガティブ感情にどう対処していたのかということを中心に、本書のあらすじとポイントをご紹介します

山ちゃんの半生とネガティブ感情との戦いのコツ

①お笑い芸人を目指す編ー弱気な自分を意識的につぶしていく

山ちゃんがお笑い芸人を目指すことになった理由は友人からの「山ちゃん、時々おもしろいこと言うからお笑いやってみたら」という一言でした。

他人からこんな風に言われて一瞬その気になっても実際に行動に移すなんてことはほとんどないですよね…でも山里少年は違いました。

彼が行動に移すためにやったことは「偽りの天才」を作る事でした。それは「おもしろい」と言ってもらえたことを時々思い出して「自分がおもしろい人間なんだと思いこませていく作業をする」ことです。

どんな些細なことでも、小さな自信を張り付けていく。それを繰り返していくと、結構立派な張りぼてが作られていった。「張りぼての自信」の完成。

この張りぼての自信は、「俺なんて…」というあきらめさせ界のスーパーエースの攻撃も見事に跳ね返し続けて、お笑い芸人への夢に向かわせてくれたのである。

この考え方、山里氏の考え方の超重要なところです。やらない理由なんていくらでもつくれてしまうことを認識して、意識的にその弱気をつぶしにかかっているわけです。

このように弱気になってくよくよする時間を短くできた自分を「自分はスゴイ!」と褒めてあげる。そしてその勢いで簡単な作業をすると、さらに頑張っている感が出てご機嫌で作業ができるんだそうです。

これ過去の後悔とか、嫌なことがあったときも、同じようにそんな気持ちを「無視して」作業をすることで、自分は天才だと思えるわけですね。。

すごくないすか!この弱気自分のコントロール方法。。

おっと長くなってしまいました。でもこの考え方ベースになっているので、これだけでも覚えていってもらえれば、本記事も成仏します。

②吉本養成所編-言い訳を武器にライバルへの嫉妬に打ち勝つ

山里氏は関西大学に進学し、在学中に吉本の養成所に入ることができました。この辺の、大学の先輩とのエピソードとか養成所に合格するまでの話もめちゃおもしろいですが、本記事では泣く泣く省きます。本書で読んでください。

養成所ではM君という男前と「侍パンチ」というコンビを組みました。ここで彼の前に立ちはだかったのが同期で突出して才能を発揮していた「キングコング」でした。

自分たちのネタはまったくウケない。そしてキングコングはもう雲の上の存在のようになっていきました。ここで、あきらめないために山里がやったことが「自分たちを正当化する言い訳をつくる事」「必死な自分を確認すること」です。

前向きな戦いに挑んでたとえ失敗しても、それを続けるための言い訳は立派な武器だと僕は思っている。ただ、言い訳は心折れるのを防ぐために留めなくてはいけない。努力をしなくなるようだったら、それは悪質な言い訳になる。

例えば「自分たちがウケないのは、ライバルである同期を相手にネタをやっているからだ」とか。大事なのは、言い訳して、努力を続けることであるということは重ねて申し上げたい。

「必死な自分を確認すること」とは、自分に酔っている気持ち悪いやつ感はありますが「ここまで頑張れるって、一心不乱にできるって天才っぽいな」とか「〇〇のために△△できている自分すごいな」と自分で思い込むことです。

とにかくあきらめないために…自分の弱気をつぶしていく。そうやって努力を続ける山里やばいです。

一方で…誤った方法も軽く触れておきます。自信を維持するためにやっていることは振れすぎると「自信過剰」というクソ野郎になります。言い訳に「他人への批判」を使うと、他人をつぶします。特に後者は、そうやって相方をつぶすことを彼は続けてしまいました(M君とはこの時期に分かれ、新しく富男君と言う相方を得て「足軽エンペラー」というコンビで活動を始めます)。

こうして養成所時代はキングコングに完敗を喫して幕を閉じます。

③養成所アシスタント時代-駄目な時ほど人の話を聞く

養成所卒業後は、養成所でアシスタントをしながら月1回の劇場で行われるオーディションイベントに出るという日々を送っていました。

オーディションは鳴かず飛ばずでしたが全国放送の「ガチンコ!」という番組に出演するチャンスを得て、その番組のネタ見せで優勝する。そこにも山ちゃんの様々な策略があるのですが、本書でご覧ください。

いっけんうまく回り始めたのではと思いますが、この間、相方の富男君に対する暴君のような振る舞いがたたりコンビは解散してしまいます。

このころライバルとして立ちはだかったのが「笑い飯」と「千鳥」の2組のコンビ。彼らのネタを見て圧倒的な敗北感を感じた山里。しかしここからがまたすごい。

圧倒的な敗北感を次の行動をするエネルギーに変換すればいい。すぐに動いた。先輩の仲介で酒の席をもうけてもらい、その席で直球を投げてみた。

「どうしたらああいうネタができるんですか?」

これできますか?敗北感を感じた相手に合うとか、傷口に塩を塗るようなもの。強い敗北感があるからこそ、大きいエネルギーになる、だから普通できないこともできてしまうのだ。

そこでやるべきと感じたことが「自分が笑っているときに、なぜ笑っていたかをノートに書きまくる」ということ。このことを「努力する方法が増えたのが嬉しかった」というである。鋼メンタルです。

駄目だからやらないのではなく、駄目な自分だからこそ努力量を増やさないといけない。

こうすると、そう思えた自分のことをすごいと褒めてあげられるし、何よりシンプルに人のイケんをしっかり聞ける。駄目なときはこれを頭において乗り越えた。

ダメな時こそ人の意見を聞ける強さ。

④南海キャンディーズ結成初期時代-ムカついてる時にやることを決める

そして、ついにしずちゃんと出会い南海キャンディーズが結成されます。試行錯誤の末、しずちゃんとのコンビの形を見つけていったが、劇場ではまったく評価されない。

そんな時に運命的な出会いがった。亀井さんという理解者と、彼の紹介で舞台を準備してくれたバー「THIRD STONE」です。ここでの人の出会いが、腐らずにやり続ける大きな力になります。

そんな時に劇場で自分たちを評価してくれなかった支配人が変わるという出来事が起こります。しかし、そのことによってすぐに自分たちの序列が上がることはありませんでした。

またも腐りそうになるが、そこで山里がやったことがこれ。

イライラを使って、とりあえずムカついてるときにやることをたくさん決める。そしてそれをメモに取る

やるべきことと、そのきっかけとなったムカつく奴の言葉を一緒に、すぐそれに取り掛かる。そうすれば勝てるし、ムカつく奴の言葉を一緒に、すぐそれに取り掛かる。そうすれば勝てるし、ムカつく奴も僕の餌になってくれたということで怒りが収まる。僕の中のクズとの最高の付き合い方だった

この方法、ぜひすぐ実践することをオススメします。私もはじめました。「すぐ」「書く」ことが大事だと思います。

感情的なことを文字に書くとちょっと冷静になれます。そして自分は何をすべきかを書くことで、相手のことばかり考えてイライラするという悪循環を抜け出すことができます。

ぐるぐる頭の中でモヤモヤしている間は、相手にイラついているだけで前に進めません。書くことでこっから自分が何をすべきかまで思考を無理やり持って行くのです。

大事なところなのでエピソードをもう一つ引用します。南海キャンディーズを「そんなキャラクター、すぐ飽きられるって私わかってるから、だから0点。以上」と言い放った社員に対しての怒りを成仏させた話です。

いつかこの人に全力で嫌な言葉を浴びせてやる。今はできない。今したら終わりだ。いつか覚えとけよ…。僕のノートには、その日のこのやり取りと、その人を罵倒するために自分が頑張らないといけないことをびっしり書いた

その日のためには、そいつからされるダメ出しも真摯なふりして聞けたし、媚びることもできた。むしろ、そいつはいつか俺に逆襲される種を必死で蒔いて見ずをあげてる愚かな奴!くらいの気持ちだった。そう考えるようにしてからは何の苦痛もなかった。

⑤南海キャンディーズブレイク編-自分の努力、自信の証を持つこと

一方で彼らを評価する社員もおり、のちのマネージャーとなる片山さんからM-1決勝に出てくれと発破をかけられました。

M-1は既に知名度のある人じゃないと勝てないと勝手に思い込んでいたが、「麒麟」がまったくの無名からファイナリストとなりブレイクする姿を目の当たりにすることになりました。

気づいてしまった。キャリアとかテレビに出ているとか関係ない。頑張っておもしろいことをやっていれば出られたんだ。つまりシンプルにおもしろさや努力で負けてるという現状に気づかされてしまった。

嫉妬をガソリンに変える。そしてサボる理由がなくなったことを喜ぶ。そう思いこませた。サボらなければ自分にもチャンスがあると思うことで、努力に使う時間を圧倒的に増やせた。

「サボる理由がなくなったことを喜ぶ」山里の真骨頂のような言葉ですね。この状況で山里は弱気な自分をつぶしてくれる麒麟の活躍を喜ぶのです。

そしてその努力は「M-1グランプリ2004」決勝出場で実を結ぶのです。ここに向けて極めたのが「医者ネタ」です。Youtubeで探したのですが…なかったです。

その努力の過程を示す記述を少し紹介します。とにかくこの「医者ネタ」を極めるために、同じネタを何度も修正しながらやり続けたそうです。それをとにかくにノートに書いていく。

こういうノート、この前数えたら前のコンビからのものを入れて100冊近くあった。最終的に僕たちが初めて出たM-1のときの医者ネタは、50回以上書いてると思う。このノートがいろいろな緊張から助けてくれた。「こんだけ頑張ってるんだから」という気持ちにしてくれるお守りになっていた

この医者ネタという自信があったから「他のマイナスの要素をプラスに転じさせることができる」と言います。

なるほど。自分の「お守り」になる努力、自信の証を持っていることは強い。

ここから南海キャンディーズの大ブレイク、多忙な日々が始まります。

⑥しずちゃんとの不仲時代-すべてを相方のせいにして、自分を助けることができなくなった

売れたら売れたで新たな問題が発生します。しずちゃんとの価値観の違いです。とにかく、人に負けないようにストイックに取り組む山里と「しんどいと思いながらやるのは違うから、しんどくなるほど頑張らない」と言うしずちゃんの溝です。

しかも、ネタや経験が豊富ではない南海キャンディーズは徐々に追いつめられていき、一方でしずちゃんはピンで俳優業からテレビタレントとして評価を受け、売れていくという、山里にとっては最悪に嫉妬する事態になっていくのです。

自分に自信がない時におそってくる、最も厄介な敵がやってきた。それはすべてを相方のせいにしてしまうというものだった。「俺がこれだけやっているのに」という気持ちが芽生え、しずちゃんへの心を完璧に閉ざした。何も見えなくなった。

そしてM-1グランプリ2005で圧倒的に最下位に沈み「僕は自分を助けることができなくなっていた」という。あの弱気な自分をつぶす達人の山里ですら。

こうやって自分ができないところを見つけては自分を責めるということが、無意識に逃げる理由ができて居心地がよかったということを。

というらしくないことを感じるほどでした。

⑦よみがえる張りぼての自信-敵だと思っていた相方は味方だった

自分で自分を救えなくなっていた山里を救ったのは、お客さんの笑い声でした。そしてその場をお膳立てしてくれたのが千鳥の大悟をはじめとした芸人仲間でした。

そこから山里は復活します。

人は、失敗するとやはりマイナスのほうに目が行きがちになってしまう。そんな中でも何かプラスを見いだすことは、思った以上の効果を産むということを覚えた。自分もそれができるようになりたいと思った。

そしてしずちゃんとの関係も彼女の「山ちゃんが言っていた『全力でやれ』って言葉の意味が、本当に自分はできていないんだってわかった」という言葉で変わっていきます。

変な話だが勝手に敵だと思って接していたが、もちろんそれは大きな間違いで、改めて味方として思えるようになった。

自分に自信がないとき、元気がない時って周りが敵に見えてくることってありますよね。それでコミュニケーションをとらないと、どんどんその敵は醜く成長していきます。

私も自分の実感として、自分ではそのことに気づけないんですよね。相手の優しさとか、相手のちょっとした言葉で、なぜ自分はこんなに相手を敵視していたのだろうかとやっと気づきます

自分を救ってくれたのは嫉妬していた相手と言うのがなんとも人間くさいじゃないですか。ここを読んで、山ちゃんすげーなって思ってたけど、山ちゃんも普通の人間でもあるなって思いました。

本書は、最後のクライマックスとして再びのM-1グランプリへの挑戦。単独ライブの実施へと進んでいきます。このあたりはぜひ本書をご覧ください。

①「小さな自信」の積み重ねて弱気な自分をつぶす。
②続けるための「言い訳」は立派な武器になる。
③強い「敗北感」が大きいエネルギーを生む。嫉妬相手の教えを乞うこともできる。
④「ムカついてる時」にこそやるべきことをいっぱい決める。
⑤自分の「努力の証」がお守りのように自分を助けてくれる。
⑥自分のできていないところを責めるのは逃げる理由。
⑦嫉妬して勝手に敵だと思って人は味方。

◆まとめ

本記事では、「ネガティブ感情にどう立ち向かえばいいか?という問いに、山里亮太氏の半生を書いた著書「天才はあきらめた」がめちゃめちゃ参考になるということで、あらすじとそのポイントを紹介しました。

山ちゃんは、とにかく「立ち止まらない」ために、次々に現れる「ネガティブな感情」を「天才と思いこむ」「言い訳をする」「復讐をエネルギーにする」など決してスマートではない方法で対処してきました。

嫌なことを言われれば、その言葉と共に見返すために何をすべきか書くって、怖いっちゃ怖いですけど、それをきちんと「自分が何をすべきか」という努力に向けられればそれはすごく前向きなことに思えます。

ぜひオススメします、復讐ノートづくり。

ただ最後にも出てきたように、それでも「自分で自分を救えない」ことがあったことも大事なところです。最後に自分を救ってくれるのは、一番身近にいた人たちでした。

本書の解説でオードリーの若林正恭が山ちゃんのことを次のよう書いています。

山里亮太は、噛みついて自己否定を感染させようとするゾンビに常に追いかけられている。そのゾンビから努力という全力疾走で逃げ続け、気づいたら先頭集団を走っていたという「犬に追いかけられるのび太的な一等賞」なのだと思っていた。

常にゾンビを見ているから、他者に対する興味はあまりないと高をくくっていた。だがこないだある番組に出演していたのを観た時ヤバイと思った。しずちゃんへのまなざしが、愛と感謝に満ち溢れているように感じたのである。

ネガティブゾンビバスター山里亮太は、人間を愛することを知ったのでした。ちゃんちゃん。